2019年3月1日(金)
第347回高知県議会 平成30年度2月定例会一般質問

県議会のホームページで、議会の録画がご覧になれます(別窓で開きます)




■大野たつや

県民の会の大野たつやです。議長にお許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきたいと思います。


思えばもう5年も前になりますが、28年間の長きにわたって勤めさせていただいた、仁淀川町役場を退職し、そののち、多くの皆様に身に余るご支援を賜り県議会の場に送っていただきました。

以来この任期中、県民の皆様をはじめ、尾ア知事、県庁執行部の皆様、先輩、同僚議員の皆様など多くの方々に大変お世話になり、微力ながらもこれまで県議会議員として活動をさせていただくことができました。
この場をおかりしまして、あらためて皆様に心から感謝とお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

私自身は大変大変微力で、力足らずな点、至らぬ点が多く、県民の皆様方のご期待に必ずしもお応えできなかったことも、多々あったかと思いますが、どうかお許しいただければと思っております。

今議会は、平成最後の定例県議会であり、私にとっても任期最後の質問となります。
私自身これまでの活動を振り返るとともに、新たな時代に悔いを残さないよう、多少お聞き苦しい点もあるかと思いますが、知事はじめ執行部の皆様からのご答弁どうかよろしくお願いいたします。

 

それでは質問に入らせていただきたいと思います。
まず、知事の政治姿勢についてお伺いしたいと思います。

近年、特に国の行政機関において、大変残念で信じられないような事案が次々とおこっています。

森友加計問題では不透明な国有地の売却をめぐり、国会答弁との整合性を図るための公文書、決裁文書の改ざんが行われたのをはじめ、文民統制の基本原則までもが問われることとなった自衛隊の日報隠し問題、さらには、法律を作ったおひざ元で行われていた障害者雇用の水増し報告、さらに今年に入ってからも、毎月勤労統計をはじめとする政府統計の不適切な処理が発覚、閣議決定後に当初予算が組み換えられるという事態までもが起っています。
こうした、公務現場で次々とおこる不祥事案は枚挙にいとまがなく、さらにそれらをチェックできない政治も併せて、今、国民の行政や政治に対する信頼は、大きく揺らいでいるのではないかと思います。

私事になりますが、約30年前、私は18歳、学生気分もぬけきらない、右も左もわからないまま、いわゆる高卒で、当時の吾川村役場に入職させていただきました。

初出勤日、役場に入って一番最初に行ったことは、地方公務員法の宣誓でした。村長室に入ると強面村長が座っており、その目の前で、なんとも言えない緊張感の中で、震えながら宣誓書を読んだ、いや読まされたのを今も鮮明に覚えています。

「すべて職員は、全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」。
私の公務員生活の第一歩は、当時ワンマン村長と称され、剛腕強権で誰からも一目置かれた片岡音吉村長から、常に公務員は一部の奉仕者ではなく全体の奉仕者でなければならないとの厳しい教えの中でスタートをさせたものでした。
そののち、役場を退職し、県議会議員という違った立場となり、昨年3月に私は、衆議院予算委員会の佐川前財務省、理財局長の証人喚問を傍聴する機会を得ました。

あの森友加計問題の、キーパーソンともなってしまった、一人の官僚、公務員が全国民が注目する中で、承認喚問に立たされる、
私も一人の国民として、また元行政職員として、その答弁の行方を注目してみておりました。

しかし、そこで目の当たりにした光景は、まるで国民向けのセレモニー、テレビショーのようにしか私の目には映りませんでした。

誰かを一生懸命守りきろうとする官僚と、まるで言い合わせたように責任の回避を誘導する与党議員とのやりとりは、公務員、官僚組織や政党の中で生きる、その人の生き様だけでなく、その背景まで垣間見えるようでした。その光景を見ながら、私は不思議とその時、30年前のあの厳しく怖かった片岡村長の言葉や教えを思い出していました。

公務員とは、政治家とは、誰のために何のために働くのか、誰を見てどこを向いて仕事をするのか、あらためて強く考えさせられました。

国民全体の奉仕者であるはずの官僚が、政治家や一部の方のために、決済文書やデータを改ざん、隠ぺいまでして、さらに国会に嘘の答弁までしなければならなかったことは、単にその官僚組織だけの問題ではなく、そうさせてしまった政治家や国会にも大きな責任があると思いますし、あの事件以来、多くの国民が官僚機構や国会、さらにはこの国の民主主義そのものに疑問をいだくこととなってしまいました。

その後の国会をみても政権与党は官僚と一緒になって野党の追及をかわすだけの防衛戦を続け、自浄作用は望めそうにありませんし、野党もバラバラで明らかに追及する力不足は否めません。

政治家の嘘や失言は後を絶たず、国民の多く、小さな子ども達までもが、政治家は嘘をつく大人だと、そういう人たちなんだと思われている情けない現実もあります。

新たな時代を目の前にして、政治や行政に携わる者の責任はかつてないほど大きくなっている中で、相次ぐ官僚機構の不祥事案とそれを行わせてしまう今の政治の姿について、前財務官僚であり政治家でもある尾ア知事の目にはどのように映っているのかお伺いしたいと思います。

 

次に、来年度、平成31年度予算についてお伺いします。
本県の新年度、平成31年度当初予算案においては、知事の提案説明でもありましたように、国の防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策への対応、県経済の成長、活性化に向けた第3期産業振興計画の推進などメインエンジンのさらなる強化加速、

日本一の健康長寿県づくりの更なる推進や、教育や子育て支援の充実など、当初予算ベースで前年度を98億円上回る4607億円を超える積極型の予算編成となっています。

中でも、いわゆる投資的経費は、繰越を含めると平成15年度以来となる1745億円が計上され、
昨年の豪雨災害からの復旧、防災、減災対策、インフラ整備に対してしっかり対処、対応していくという尾ア県政の方針が表れているものと思います。

また、税収の増加についても、経済の活性化や地産外商施策、さらには観光キャンペーンなどによる交流人口の増加など、これまでの様々な施策の取り組みが成果として確実に表れてきているものと思います。
予算の組み立てには大変なご苦労もあったかと思いますが、あらためて知事をはじめ執行部の皆様に敬意を表するものであります。

特に平成31年度においては、人口の減少が益々加速していく中で、この先の未来に県民が高知県のどの地域地域でも安心して暮らしていける、命や生活を守る大きな柱になるために尾ア県政が掲げてきた、第3期産業振興計画や日本一の健康長寿県構想といった重要施策の総決算、総仕上げの大切な年度になると思います。

 

知事も、提案説明の中で、県勢浮揚の歩みをより確かなものとしていくため、各分野において、この先5年後、10年後を見据えた道筋を県民の皆様にお示ししていく必要がある、とおっしゃられていましたが、そうした意味でも大変重要な年になると思います。

そこで産業振興計画、日本一の健康長寿県構想、それぞれの平成31年度の予算のポイントについてお伺いしたいと思います。

 

知事の提案説明において、地方交付税など一般財源の確保について国に政策提言を行っていくとの説明もありましたが、新年度予算案において臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税額は、前年度を26億円以上下回っており、地方の固有財源とも言える地方交付税については、今後特にその確保と維持の取り組みが強く望まれるのは言うまでもありません。

そうした状況の中、2001年から創設された、地方債の臨時財政対策債、いわゆる臨財債は、当初3カ年の臨時的特例措置として導入されたいわゆる地方自治体の借金ですが、
ご承知のように延長、延長で現在も継続され、今では地方自治体にとっては、財政を組み立てるうえでなくてはならない制度ともなっています。

臨財債は、本来なら地方交付税として交付されるべき金額の一部を地方が臨時財政対策債を発行、いわゆる借金をすることによって補填し、その元利償還金相当額を後年度に基準財政需要額に算入させることで交付税措置する仕組みだと理解しています。

本県においては2001年の制度発足当時1億円程度だった臨財債の発行額は、今では、36億円にも達しています。

国によって制度化された以上、本来は国が責任をもって対応すべきだとは思いますが、国と地方を合わせた「借金」が1100兆円を超える中、地方債、借金を返済する責任は地方にもあり、国に合わせて地方自治体が借金していくことには大きなリスクがあるのではないか、将来取り返しがつかないことになるのではないか、と警鐘を鳴らす声もあります。
今後、増大する臨財債の元利償還金と併せて増えなければならない、臨財債を含む実質的な地方交付税額が減少している現状も踏まえ、
臨時財政対策債に対するご所見と地方交付税の確保など国への予算要望の取り組みについて、財政のスペシャリストでもある尾ア知事にお伺いしたいと思います。

 

昨年6月に決定した骨太の方針2018では、2025年度の国と地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化と財政健全化を図るため、2019年度から2021年度を「基盤強化期間」として、経済の成長と持続可能な財政への基礎固めに取り組むこととされています。

また、10月にはこれまで2度にわたって延期されてきた消費税の税率を10%に増税することなど、今まさに国会において2019年度予算が審議されているところであります。
新年度においては、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策や幼児教育の無償化など社会保障費などの増加により、一般会計の総額は当初予算で初めて100兆円を超える101.5兆円となるなど、7年連続で過去最大を更新しています。
中でも消費税増税に向けた、臨時・特別措置として、政府の説明では、前回2014年4月の消費税率5%から8%への引き上げ時に、駆け込み需要の反動によって個人消費が落ち込んだことによりGDPがマイナス成長となったことなどへの反省にたって、経済の回復基調に影響を及ばさないようポイント還元やプレミアム付商品券などの経済対策を予定しているとのことであります。

確かに消費税の導入による買い控えなどへの対応として、一定の景気対策は必要だと思いますが、今検討されている、キャッスレス決済の普及も併せたポイント還元による景気対策は、大店舗や大企業などと零細企業や小規模商店、さらには都市と地方との格差まで益々増大させる可能性が高いのではないかと、大変心配をしています。
というのは私自身が生活していく中で、特に中山間地域にあるお店などでは、高齢者が経営や店番をしているところが多く、そうしたところにおいて今回予定されているキャッスレス決済の普及やポイント還元策の恩恵や効果が果たしてあるのか、その前に対応ができるのか、不安に思えてなりません。
それ以上に心配なことは、例え短期間であっても、今までそうした地元で買い物をしてくれていた消費者が、ポイント還元など少しでも減税の恩恵を受けようと街部のコンビニや大規模店に流れてしまい、地域の零細商店において益々顧客離れが進み、場合によっては店をたたむきっかけにもなるのではないかと心配もしています。

また、中山間地域に限らずキャッスレス決済やポイント付与に対応するための整備費用の増大は、特に零細小規模商店等の経営を相当圧迫するのではないかと思いますし、結果として大規模と零細の経営、ひいては都市部と地方との格差を益々助長するのではないかと大変危惧をしています。
そこで、
平成31年度の国の当初予算における消費税対策を踏まえ、こうした中山間地域等の小規模事業者にどのように対応していくのか、知事にお伺いさせていただきたいと思います。

 

毎月勤労統計の不正ではアベノミクスを判断する基本指標ともなる実質賃金が不正調査により結果的に改ざんがされ、政府やアベノミクスへの不信や不安感が増大しています。
同じ厚生労働省が管轄する年金運用においては、年金積立金管理運用独立行政法人GPIFが、2014年に当時国債が中心だった年金の運用基準を見直して、株式の比率を50%まで増やし運用が行われていることはご承知のとおりであります。

年金財源という国民全体の積み立て財産を大量に株式市場へ流したことにより、株価の上昇をうみ一時的にはアベノミクスの一定の追い風ともなりましが、昨年の10月から12月期には15兆円もの運用損を出すなど、総資産総額は150兆円に目減りしていることも発表がされています。株式運用は高リターンが望める一方高いリスクも伴うもので、国民にとって将来の財産とも言える年金の株式の運用拡大には今も意見が分かれているところでもあります。

私自身、日常的に高齢者の皆様のお話をお伺いする機会が多いのですが、そのほとんどの方がおっしゃられるのが年金と国保や後期高齢者医療保険のことです。

特に中山間地域においては、収入は年金のみで年金に頼った生活をされている方が多く、例え100円であっても保険税や保険料の増額や年金支給額の減額が生活に影響をあたえる方が多いのも現実です。一方で、虎の子の年金が高リスクにさらされている運用実態のことを知らずに、苦しい生活ながらも、「お役所がやることに間違いはない」と、政府を信じて日々生活をされている高齢者が多いのも事実であります。

第2次安倍政権が発足して7年になりますが、この間政権は経済の再生とデフレからの脱却を目指して、金融政策、財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という3本の矢を柱に掲げアベノミクスという名の経済成長を目的とした政策運営を行ってきましたが、

金融政策の恩恵は、いわゆる資本家や資産家といった富裕層に偏り、財政政策や民間投資にしても都市部の大企業や大手に中心の財政出動により、結果として都市中心型の施策に終わってしまっていると言わざるを得ません、

金融施策とはそういうものなんだと言われればそうかも知れませんが、私個人的には、この施策により都市と地方、富める者とそうでない者の格差がこれまで以上に開いてしまったのではないかと思いますし、年金の株式運用の拡大など株価重視の経済政策を続けることに、将来への不安や危機感さえも覚えます。
新3本の矢とも言われた、介護離職ゼロや希望出生率1.8なども未達成で、人口減少の課題解決への道筋も未だに見えているとはいえません、アベノミクスの3本の矢はどこにはなたれ、どこに刺さったのでしょうか、
アベノミクスの効果とその評価について尾ア知事にご所見をお伺いしたいと思います。

 

人、モノ、金、全てが東京に集中している現状は、グローバル経済の中で国際的な競争力の強化や効率的な経営など経済面から言えば有効的である一方、極端な地方の人口減少や過疎化をもたらし、東京においても都市化、過密化による様々な問題、災害リスクなど危機管理上の問題などが顕在化し、国も東京一極集中の是正、地方への人口分散が必要だとして、地方創生や国土強靭化計画などの政策を行っているものと理解しています。

しかしながら東京圏への人口流入が年間12万人を超えるなど、東京一極集中の流れは止まるどころか、現状は、むしろ東京への流入人口が年々増大している状況となっています。

今後少子高齢化がますます進み、2050年には日本の総人口は今より2割以上減り、1億人を割るとも言われています。社会保障の増大による可処分所得の減少なども加味すると、国内需要やGDPは人口の減少以上にさらに激しく縮減していくことも予想されています。

今、東京など大都市圏では、来年の東京オリンピックに向けた建設ラッシュ、人手不足も続き、好景気が拡大していると言われていますが、今年10月には消費税も増税される予定で、来年以降はオリンピック特需もなくなっていくことから、今後の景気の動向、国の財政運営は、そうとうシビアな状況も覚悟しなければならいと思います。

そうした中政府は、地方制度調査会をとおして、複数の市町村の圏域で行政サービスを担う新たな広域連携制度、圏域構想の具体化に向けた議論などを行っています。

経済や文化、政治の力関係のバランスを大きく崩している、行き過ぎた東京一極集中という負のスパイラルを止める意味からも、地方創生のような補助金やソフト施策ではなく、抜本的な地方への財源の配分や地方分権によって、この国の形を地方重視、国土の均衡ある姿に変えていくことが、強い国づくりにもつながり、
誰もがどこでも安心して暮らすことができることの基礎になるのではないかと思いますが、
新たな広域連携制度、圏域構想に対するご所見と今後の基礎自治体の理想的な姿について尾ア知事お伺いしたいと思います。

 

次に、医療的ケアが必要な子ども達への支援についてお伺いします。医療技術の進歩や高度化などを背景に、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを必要とする子ども達が多くなっています。

平成24年の児童福祉法の改正により、放課後等ディサービスや保育所等訪問支援が創設され、平成28年には、障害者総合支援法と児童福祉法の改正によって、医療的ケアを必要とする障害児が適切な支援を受けられるよう、自治体における保健・医療・福祉等の連携促進が努力義務で規定されるなど、施策や支援体制は一定整ってきていると理解しています。

しかしながら、高度な医療を必要とする医療ケア児は、医療としての制限を受けることから、多くの介護支援が必要でありながらも、法や制度の谷間で必要十分な支援を受けられずに困窮されている実態もあります。
そうした状況などから障害福祉報酬における医療的ケア加算など新たな判定基準の確立も課題となっていますが、
本県の医療的ケア児への支援の現状と課題について地域福祉部長にお伺い致します。

 

就学までの保育所や幼稚園への通園や体験は、来るべき学校生活の準備であるとともに社会性を育む重要な経験ともなります。

佐川町では、重症心身障害児で医療的ケアが必要な子どもさんが、就学を目前にした昨年11月から、通院や施設への通所の合間に月1回程度、保育所への入所が実現しています。

入所にあたっては、役場の保健師さんが保護者や各関係機関との連絡調整役を担い、受け入れ保育所でも保育士さんが研修を受講するなど受け入れ体制や施設環境を整えるとともに、週1回保育士さんが家庭訪問を行って慣らしを実施、さらには民間の児童発達支援事業所による保育所等訪問事業による協力など、多くの関係機関の連携協力体制によって、就学前の保育所への入所が実現しています。

小学校就学前の多くのお友達との触れ合いは、本人の成長はもちろん、周りのお友達、子ども達にとっても、多様性を学び一緒に生きること、助け合いの心を育む貴重な機会ともなっています。

また、そうした取り組みにより、関係者間の連携や子ども達に合った態勢づくりが作られるなど、今後の地域のセーフティネットにつながる大変重要な取り組みともなっています。

今後、障害児や医療的ケアの必要な子ども達が特別支援学校に限らず学校や保育所への通学や通所を希望するケースも増えることが予想されますが、学校看護師の配置など、学校、幼稚園や保育所における医療的ケア児の受け入れ体制の現状と課題について、教育長にお伺い致します。

 

成長のために学校に通学し、友達と遊び学ぶ、教育機会の均等、確保が必要なのは言うまでもありませんが、医療的ケアを必要とする子ども達が安心して通学できるよう、医療、福祉、教育機関が連携、協力するなどして教育環境の整備がされています。

しかしながら、バスなどで移動する間の医療的ケアの実施は危険を伴うことから、スクールバスでの送迎ができず保護者が送迎を行わなければならない実状や、保護者が送迎できない場合の学校への通学にも課題があるのではないかと思われます。そこで、特別支援学校に在籍している通学の現状と課題について教育長にお伺い致します。

 

次に、児童虐待防止についてお伺いします。先月、千葉県野田市で小学4年生の女児が父親からの虐待を受けて死亡し両親が逮捕されました。

この事件では、市の教育委員会の担当者が、父親の脅しに精神的に追い詰められて、SOSを発信していた児童のアンケートのコピーを出してしまったことや、児童相談所も、児童が父親に書かされた、嘘の手紙ということを、十分確認せず、一時保護を解除するなど、行政の対応の甘さや、逃げが最悪の事態を招いた大きな要因ともされています。

事件を受け厚生労働省では、児童福祉司の増員や児童虐待に対応する新たな国家資格の創設の検討など、対策の強化を決定しました。

また、東京都においては都道府県で初めて、保護者による子供への体罰や暴言などの禁止や、転居した場合の児童相談所間での引き継ぎの徹底、児童相談所と警察の連携強化など、虐待事案に対応するための情報共有や援助要請などを盛り込んだ「児童虐待防止条例」の制定も検討がされています。

本県でも2008年の南国市の事件などから、児童福祉司の増員やスキルの向上など児童相談所の体制強化が図られてきていますが、本県における児童虐待防止対策の現状と課題、また、本県における児童虐待防止条例の制定の検討について、地域福祉部長にお伺いしたいと思います。

 

次に、障害者就労継続支援B型事業所、いわゆるB型事業所についてお伺いします。

私の胸の木製の名札もB型事業所で作成されたものですが、
B型事業所は、重い障害や精神障害のある人などを受け入れ、軽作業などを通じて就労支援を行う施設で、利用者とは雇用契約を結ばず作業の対価として工賃を支払っています。

障害者の就労支援を行う事業所は、そのほとんどを国から支払われる報酬を財源として運営を行っていますが、平成30年4月報酬基準が改定され、B型事業所については、利用者に支払う「工賃」の金額に応じて、国から支払われる報酬額が変わる仕組みが導入されました。

度重なる報酬改定は、施設経営への財源圧迫をまねき、深刻な介護人材の不足とも相まって事業所の閉鎖、撤退、統廃合も加速されつつあり、報酬改定による報酬額の引き上げは想定していないとの国の姿勢もあいまって、事業者は危機感を募らせています。
全国の障害者施設で作る団体「きょうされん」が、今年度の報酬基準の改定による影響を調査した結果、回答した866の事業所のうち、およそ6割に当たる508の事業所で、改定後に国からの報酬が減ったことが判明、
さらに、減収した事業所の半数に当たる249か所で年間の減収額が200万円以上に上る見通しであることが回答されています。

重い障害や精神障害があり、毎日働くことが困難な利用者が多く利用されるB型事業所において、作業効率を上げて工賃を増やすことは困難であり、昨年の報酬基準の改正が、事業所の運営に大きな影響を及ぼしているのではないかと思います。そこで、本県における障害者就労継続支援B型事業所の現状と課題、併せて、国の報酬改定による、本県の事業所運営への影響について地域福祉部長にお伺い致します。

 

次に、あったかふれあいセンターについてお伺いします。あったかふれあいセンターは、日本一の健康長寿県構想、高知型福祉の重点施策として、地域のニーズや課題に応じた小規模多機能支援拠点として、今では本県においてはなくてはならない取り組みともなっています。

近年、訪問介護や通所介護サービス、認知症カフェなど介護予防サービスの提供など、介護保険制度とも連携しながら機能の強化も図られてきていますが、運営を担う社会福祉法人や団体、スタッフといった、あったかふれあいセンターを支える人材の確保や職員の処遇の改善などが課題ともなっています。
そこで、
あったかふれあいセンター事業の現状と課題について地域福祉部長にお伺いしたいと思います。

本県発祥とも言えるあったかふれあいセンター事業は、今後急速に本格的な高齢化社会を迎える国全体の取り組みとしても重要かつ先進的な取り組みの一つだと思います。

知事は提案説明の中で、知事自身が委員長を務める全国知事会社会保障常任委員会において、持続可能な社会保障制度の構築に向け、国への政策提言や優良事例の横展開を進め、新経済・財政再生計画改革工程表の諸項目の進展にもつなげていきたいとおっしゃられておりましたが、
あったかふれあいセンターの事業は、中山間地や過疎地における地域コミュニティの醸成だけでなく、介護や医療、福祉といった様々な制度の切れ目を埋める、
まさに本県発祥の先進的な優良事例ではないかと思います。
そうした意味からも、事業の安定かつ継続的な運営、新規事業の開始などのための財源の確保策として、
あったかふれあいセンター事業の交付金化など恒久財源の確保に関する国への要望及び提言について、尾ア知事のご所見をお伺いしたいと思います。

 

次にシルバー人材センターについてお伺いいたします。
シルバー人材センターは、高齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき、臨時的かつ短期的、または軽易な業務や仕事を提供し、高齢者の生きがいや社会参加の促進を図るもので、市町村単位や広域市町村でセンターが構成され、現在県下各地において活動が行われています。

シルバー人材センターは、高齢者の生きがい対策のみならず、介護予防や医療費の抑制など財政面での効果も併せて重要な取り組みとなっています。

特に、若者や担い手、技術者が不足する、中山間地域では、卓越した技術や匠の技を持っておられるシルバー人材が、地域の貴重な存在ともなっています。

昨年12月議会における県民の会の石井議員の質問に対して、市町村と意見交換の場を設けるなど情報を共有し、センターの活用を行っていくとの答弁もございましたが、

少子高齢化などにより人手不足の深刻化に伴い、役場など公の施設の清掃、道路や河川の除草など、センターに対する地域や自治体の依存度も増える中、事業の一層の充実と機能強化が求められていると思います。そこで、本県のシルバー人材センターの現状と課題について、商工労働部長のご所見をお伺い致したいと思います。

 

次に防災行政無線の戸別受信化の進捗についてお伺いしたいと思います。 私は県議会での初めての質問で、大雨時に雨戸を締め切っている状況や高齢者や障害者など災害援助者の避難などで
行政からの避難情報を伝える手段として、防災行政無線の戸別受信機が有効であることを提言させていただきました。

昨年の7月豪雨においても、雨音などで屋外スピーカーの音が聞こえず避難が遅れたケースや、要援護者の避難が遅れ、犠牲となったことが報道されておりましたが、災害時など危険にさらされている住民を避難させるための災害情報をいかに確実に伝えるかは、防災・減災の鍵であり重要な対策であることは言うまでもありません。

特にスマートフォンなどを持たない独居高齢者や要援護者世帯、浸水地域にある地域住民に対しての災害時など、行政からの緊急伝達には、戸別受信機は有効な手段であるとともに命を守る重要なインフラ整備の一つだと思います。本県における防災行政無線の戸別受信化の進捗状況について、危機管理部長にお伺いしたいと思います。

 

最後に、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備についてお伺い致します。

新たな管理型産業廃棄物最終処分場の候補地として、県は佐川町加茂を最適地として絞り込み、先月には候補地のある佐川町加茂の各集落において住民の皆様との話し合いの場、さらには佐川町内の地域ごとに、地元住民への説明会が開催されました。

私も地域住民との話し合いの場や各地域での住民説明会へも参加させていただきましたが、県林業振興環境部からも部長はじめ職員の皆様が、毎日毎晩のように、住民の皆様と、まさに膝を突き合わせながら施設整備にあたっての分かりやすい説明に務められておられました。

あらためて、この間の林業振興環境部長をはじめ、担当職員の皆様のご労苦に対して敬意を申し上げる者でございます。

話し合いや説明会には多くの地域住民が参加され、地域住民ならではの視点で、整備における留意点や不安な思いなど、様々な意見や助言、質問などがありました。

加茂地域住民との話し合いの場では、施設の安全性に対する多くの不安の声の他、
「安全な施設なら高知市に持って行ったらいいのではないか」、「過疎が進み住民の数も少なく、反対の声も小さいからこの地域にもってきたのではないか」、「最初から加茂地域に決まっていたのではないか」、といった厳しい声も多くあったことも事実であります。

そこで、新たな管理型最終処分場に関する、これまでの加茂地域住民との話し合いや、佐川町内各地域で開催された住民説明会で出された住民からの意見を県はどう受け止められたのか、林業振興環境部長にお伺い致したいと思います。

 

加茂地域住民との話し合いの場では、建設時や施設完成以降の大型車の往来の危険性などを心配する声も多く聞かれました。

候補地のふもと加茂地域を走る国道33号は通勤、通学、通院など地域住民の生活に欠かせない大動脈、命の道でありながら、特に日高村から佐川町間の道幅は狭く、事故も多発し、さらに豪雨の度に度々冠水し通行止めも頻発しています。

33号の通行止めや事故などのときに、う回路ともなる県道297号も一部2車線化された部分はあるものの改良の進捗は遅く、全線改良の見通しはたっていません。

また、地域を流れる長竹川の河川改修も手つかずの状態でもあることなど、社会基盤の脆弱さから、住民は常に不便で不安な暮らしを強いられてきた側面もあります。
そうしたところに、インフラも充実し、経済的にも生活安全面でも比較的恵まれている街部から出された廃棄物が持ち込まれる。

何でここなのか?どうしてこの流域ばかり犠牲を強いられるのか?と思われる地元住民の皆さんの気持ちは察するに余りあります。

まずは社会基盤の整備をしっかりと行ったうえで、議論はそれからだという思いは当然のことだと言えます。

そうした意味からも、国道33号、県道297号の改良と長竹川の河川改修など、地域の社会基盤整備の道筋をしっかりと住民の皆様にお示しした上で、今後の議論を進めることも必要だと考えますが、尾ア知事にお伺いさせていただいて一問目といたします。

 

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●尾ア正直知事

大野議員の御質問にお答えをいたします。
まず、官僚機構の不祥事やそれを行わせてしまう今の政治の姿について、お尋ねがございました。
言うまでもないことでありますが、行政や政治にとっては、国民や県民の皆様の信頼を得ることが極めて重要であります。

そして、そのために必要なことは、まず第一に、御指摘のように、行政や政治に携わる者が全体の奉仕者として、国民のために県民のために働こうとする姿勢を持ち続けることであると、私も思います。そうした点において、国民の信頼を失う事案が出てきていることは否めず、大多数の公務員が日々真摯に職務を遂行しているからこそ、誠に残念であると感じております。
そして、第二に、仮に誤りがあっても、組織として直ちにこれを正す、すなわち、自浄作用を持った組織であることが、国民の信頼を得るために絶対的に必要であると考えるところです。そして、こうした自浄作用を働かせるために最も大事なことは、悪い話ほど速やかに組織の上部に上がっていく風土づくりではないかと考えています。霞ヶ関のような極めて大きな組織において、この風通しのよさを確保していくことは困難が伴う課題であろうかとは思いますが、重要なことであります。そして、私も、この県庁において、悪い話ほど私のところへと常々庁内で述べるなど、こうした組織づくりに日々意を用いているところであります。
いずれにしましても、政府においては、政治や行政に対する国民の信頼を損ねることのないよう、しっかりと対応をしていくことが重要であると、そのように考える次第でございます。

 

次に、産業振興計画、日本一の健康長寿県構想、それぞれの平成31年度予算のポイントについて、お尋ねがありました。

まず、産業振興計画につきましては、第一に、継続的に新たな付加価値の創造を促す仕組みを意図的に構築する政策を、質、量ともに大幅に充実したこと。第二に、新たな付加価値をもとに、さらなる交易の範囲の拡大につなげていく取り組みを強化したこと。この2つが予算の大きなポイントであります。
第一の新たな付加価値創造に関しては、経済成長の源泉であり、本県経済の拡大傾向をより強固なものとし、先々にわたるまで県政浮揚を確かなものとしていくために、最も重要な取り組みであります。
このため、民間の皆様から新たな成長の種となる事業が次々に生み出され、また、民間の皆様の潜在力を十分に生かし切ることができる新たな仕組みを各分野で構築しようと努めたところでございます。

具体的には、県行政や各産業などの現場のニーズを抽出し、それをもとに新たなIoTシステムの開発などにつなげる、高知デジタルフロンティアプロジェクトや、企業新事業展開を促すKOCHI STARTUP PARKといった仕組みを大幅に拡充するとともに、中山間の各地域の自然や体験資源を生かして外貨を稼ぐ自然体験型観光の取り組みを展開していくこととしています。あわせて、本県産業の飛躍的発展を図る上で各産業分野におけるデジタル技術の導入は不可欠であることから、Next次世代型施設園芸農業の開発や、高知マリンイノベーションの推進など、各分野での展開に加え、県内企業におけるデジタル技術の導入もまたサポートしてまいります。

第二のさらなる交易の範囲の拡大に関しては、今回、輸出の拡大や国際観光の推進など、各分野の海外展開に向けた施策を本格化してまいります。具体的には、日本貿易振興機構との連携を一段と強化するとともに、各分野の輸出とインバウンド観光推進などの取り組みが相乗効果をもたらすよう、ターゲットとする国や地域における高知県のネットワークを構築するなど、連携体制を強化をしてまいります。
あわせて、企業の輸出戦略の策定と実行への支援や、国内外の消費者などとのマッチングなど、企業ニーズや事業展開に応じたサポートをさらに充実していくこととしています。

要すれば、地産外商の取り組について、より民主導の取り組みを力強く応援していけるような、そういう予算となるよう心がけたところであります。

 

次に、日本一の健康長寿県構想については、これまでの取り組みにより整ってきた地域、地域の本県、保健、医療、福祉のサービス資源をネットワーク化し、有効なシステムをつくり上げていこうとしたこと、このことが予算の大きなポイントであります。

例えば、あったかふれあいセンターが約280カ所に設置されるなど、県内全域に広がってきたことや、中山間地域で安心して生活できるよう、いざというときの急性期医療体制として、ドクターヘリの離着陸場所が大幅に拡充されたこと。また、中山間地域への訪問看護や訪問介護のサービスが拡大されるなど、地域、地域のサービス資源が一定整ってまいりました。

そうした、これまでの取り組みの成果を生かし、各拠点をネットワーク化し、全体としてシステムとしていくような施策の構築に意を用いたところであります。具体的には、地域包括ケアシステムの核となる地域包括支援センターの機能を強化するため、地域包括ケア推進監等による個別支援に加えて、主任ケアマネージャーの確保の取り組みを支援するなど、人的なネットワークを強化してまいります。

あわせて、ICTにより、医療機関や薬局、介護事業所などの間で、患者情報を共有するシステムの構築や、在宅医療に係る情報を多職種間でリアルタイムで共有するシステムの普及など、物理的な距離を縮めるとともに、多職種が連携しやすい環境づくりを進めてまいります。来年度は、次の5年、10年先につながる道筋を示す1年となるよう、このように大幅に強化した政策群に全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 

次に、臨時財政対策債に対する所見と地方交付税の確保など国への予算要望の取り組みについて、お尋ねがございました。

地方の財源不足に対しては、臨時財政対策債によって補填するのではなく、地方交付税そのものをしっかりと確保することにより、地方の将来にわたる安定的な財政運営を実現していくことが本来の姿であると考えております。議員からお話がありました臨時財政対策債については、その残高が今年度末に全国で54兆円に上ると見込まれており、発行額のさらなる圧縮や債務の償還に取り組んでいく必要があります。
このため、これまで全国知事会などとも連携し、地方交付税を始めとする地方一般財源総額を確保しつつ、臨時財政対策債などの特例措置に依存しない持続可能な制度を確立するよう、国に対し繰り返し要望を行ってきたところです。

こうした取り組みの結果、新年度の国の予算案における地方財政対策では、一般財源総額は前年度を0.6兆円上回る62.7兆円が確保されました。また、地方税が増収となる中、地方交付税について7年ぶりに前年度を0.2兆円上回る16.2兆円が確保される一方、臨時財政対策債について、前年度から0.7兆円減の3.3兆円と大幅に抑制されたことは、地方財政の健全化に資するものであり、高く評価するところであります。
今後も引き続き、全国知事会などと連携し、臨時財政対策債の縮減、さらには廃止や地方交付税の法定率の引き上げなどによる地方交付税総額の確保を図るなど、将来にわたって地方の安定的な税財源が充実確保されるよう、国に対し強く訴えてまいります。

 

次に、平成31年度の国の当初予算における消費増税対策を踏まえ、中山間地域などの小規模事業者にどのように対応をしていくのかとのお尋ねがございました。

国の平成31年度予算案では、消費税率の引き上げに伴う経済への影響を平準化するため、施策を総動員することとし、防災減災国土強靭化のための緊急対策を始め、キャッシュレス化による消費者へのポイント還元、住民税非課税の方や子育て世代向けのプレミアムつき商品券など、臨時特別な措置として、国費2兆280億円が計上されております。県としましても、これらの施策の効果が最大限発現されますよう、対策をしっかりと講じていく必要があると考えています。

ただし、議員のお話のありましたキャッシュレス化に関わる施策については、特に中山間地域では、キャッシュレス化の導入そのものが進んでおらず、現状のままでは顧客離れが進みかねない状況にありますし、導入するにしても手数料負担や決済サイクルの長期化などが事業者の経営を圧迫することが懸念をされます。

しかしながら、このキャッシュレス化は今般の消費者のポイント還元による需要の平準化のみならず、今後、住民の利便性の向上はもとより、都市部からの観光客やインバウンド需要への対応においても大変重要となってまいりますことから、今回の緊急対策を機会に、県内にできる限り広めていくとの方向で対応したいと考えるところです。
このため、導入のメリットやデメリット、さらには、国の支援策などを十分に理解した上で、多くの事業者の皆様に導入していただけるよう、金融機関と連携したセミナーなどを行ないますとともに、商工会、商工会議所、金融機関などと連携した経営計画の策定実行支援を通じて、経営基盤の強化を図ることともあわせて、中山間地域においてキャッシュレス化が進みますよう取り組んでまいりたいと考えるところでございます。

 

次に、アベノミクスの効果とその評価について、お尋ねがございました。
国においてはこれまで、安倍総理のリーダーシップのもと、いわゆるアベノミクスにより、デフレからの脱却と経済の再生を目指して施策の展開を図ってきました。こうした結果、この6年間でGDPは、名目実質ともに過去最高水準までに拡大し、国の税収も過去最高水準まで増加をしております。さらに、有効求人倍率は全国で1倍を超える状態が継続するなど、各種経済指標は改善を続けており、我が国経済は着実に回復してまいりました。

また、本県におきましても、産業振興計画による取り組みを開始して以降、県内総生産がマイナス成長からプラス成長に転じるなど、今や、人口減少下においても、拡大する経済へと構造を転じつつあります。こうした背景には、アベノミクスや地方創生などの国の政策が本県の取り組みの強力な後押しになっているものと認識をしています。

しかしながら、本県における一人当たりの県民所得は、全国を上回る伸びを示しているものの、絶対水準では全国の8割強にとどまっています。また、本年1月に発表された住民基本台帳人口移動報告では、東京圏以外の全ての道府県との間で東京圏が転入超過となっており、人口の東京一極集中に歯どめがかからないなどの課題も見受けられます。このため、全国的な傾向はプラスであると、確実に言えるものの、その効果に偏在性があるといった課題は残っているものと考えるところです。
こうした中、国においては成長の果実を全国津々浦々にまで浸透させるよう、地方創生の取り組みを一層力強く進めるとともに、多様な人材の活躍などを促進する人づくり革命や新たな技術革新による生産性革命などを推進することとしております。中でも、東京一極集中の是正に向けては、地方への新しい人の流れをつくることとし、来年度の当初予算においてもUIJターンによる起業や就業を抜本的に強化する支援メニューを新たに設けるなどしているところです。

国においては、今後も経済成長の果実が大都市から地方へ、大企業から中小企業へとより力強く波及することとなるよう、一連の施策を着実に押し進めるとともに、地方創生の取り組みを息の長い取り組みとして、継続し続けていただきたいと思います。

本県においても、引き続き、アベノミクスや地方創生などの国の政策を有効に活用しながら、産業振興計画を始めとする県政浮揚に向けた取り組みをしっかりと進めてまいりたいと考えるところです。

 

次に、新たな広域連携制度、圏域構想に対する所見と今後の基礎自治体の理想的な姿について、お尋ねがありました。

昨年示された国の自治体戦略2040構想研究会の報告書においては、今後深刻化する人口減少や少子高齢化に伴って生じる課題に対応するため、今後の自治体行政の方向性として、圏域単位での行政のスタンダード化や都道府県による市町村の補完、支援といった内容が盛り込まれ、現在この報告書を踏まえて、地方制度調査会で議論が進められているところです。現時点では、具体的にどのような制度が設けられるのかは明らかではありませんが、県による補完支援など、本県の取り組みと方向性を同じくするものもあるところから、本県の後押しとなることを期待しております。

基礎自治体のあるべき姿について、私の考えを申し上げれば、基礎自治体である市町村には、住民に1番近いところでサービスを提供する自治体として、人口減少対策や南海トラフ地震対策を始め、地域、地域のさまざまな課題に対応した取り組みを積極的に行い、住民福祉を向上させていくことが求められております。そういう意味では、地域密着型のきめ細やかさが求められるところと考えます。他方、業務によっては、各市町村が単独で取り組みを行っていくだけでなく、広域的に連携することで、より効果的、効率的になるものも存在すると考えます。

県としては、例えば、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想の遂行に当たっては、前者の各市町村の地域密着型の機能との連携を深めているところであり、これにより、産業振興計画の地域アクションプランや集落活動センター、あったかふれあいセンターの取り組みなどを進めてきております。他方、後者の広域連携については、必要性はあるが頻度が少なく、共同で処理したほうが効果的な分野について、県が中心となって事務の共同化に向けた検討を始めたところであります。また、お互いの長所を生かし合うという意味で、広域化が有効な業務もあり、この点からは、れんけいこうち広域都市圏の取り組みを促進しているところでございます。

以上のように基礎自治体のあり方、さらには、県と市町村の関わりについては、地域に密着する方向にベクトルが向いているものと、広域連携する方向にベクトルが向いているものの2つがあると考えます。地方制度調査会の議論に基づく新たな制度についても、こうした2つの方向性を踏まえたものとなるよう、必要に応じて国に対して政策提言なども行ってまいりたいと考えております。

 

次に、あったかふれあいセンター事業の交付金化など、恒久財源の確保に関する国への要望および提案について、お尋ねがございました。

全国的に高齢化や人口減少が進み、地域、家庭、職場という人々の生活領域における支え合いの基盤が弱まってきている中、地域で住民が支え合いながら、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる社会の実現のためには、あったかふれあいセンターのような福祉制度のはざまのニーズや課題を拾い上げ、小規模ながらも地域の実情に応じて柔軟にサービスを提供する福祉の仕組みの構築が、本県に限らず全国的な課題となっているものと考えております。

このため先進優良事例の全国的横展開を図るための、全国知事会のワーキングチームにおいても、多様な福祉サービスの提供ワーキングチームを立ち上げ、地域力強化の先進優良事例として、本県のあったかふれあいセンター事業を取り上げ、●参加県●と事業の進化になどに取り組んでいるところであります。
他方、あったかふれあいセンター事業には、これまで雇用対策や地方創生のための交付金など、国の財源を最大限活用してきたものの、基本的には、県の一般財源を中心として取り組みを進めてきたところです。本事業は、地域福祉の拠点として、本県の中山間地域などでは必要不可欠な取り組みであることから、国からの財政支援の有無にかかわらず、今後とも県として確実に財源を措置し、事業の継続を支援してまいる所存であります。

ただ、その上で、今後さらなる整備や機能強化を図るため、また、このような事業の全国展開を図る上では、国による安定的な財源の確保も有効であることから、ワーキングチームの議論も踏まえ、自治体の創意工夫ある取り組みを強力に後押しする財政支援の1つとして、全国知事会から国に対し提言してまいりたいと考えております。

県としましては、あったかふれあいセンターは、日本一の健康長寿県構想に掲げる高知版地域包括ケアシステムや高知版ネウボラの構築に向け、重要な役割を担うものと考えており、あったかふれあいセンターの整備や機能強化を進めることなどにより、県民の誰もが住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることのできる高知県の実現に向け、引き続き取り組んでまいります。

 

最後に、新たな管理型最終処分場の整備に関して、国道の改良や河川の改修など、地域の社会基盤整備の道筋をしっかりと住民の皆様にお示しした上で、今後の議論を進めることが必要だと考えるが、とのお尋ねがございました。

新たな管理型最終処分場の整備に関する説明会の場などにおいて、地域の住民の皆様からは、河川の増水や国道の交通安全などについて御不安の声を多くいただいており、県としましても、そうした御不安を解消するための取り組みを行っていく必要があるものと考えております。

特に、これまでも、豪雨の際に、たびたび浸水被害が発生している長竹川の改修につきましては、住民の皆様の強い思いをお聞かせいただいており、県として具体的な対応策を検討していくとともに、国道33号の交通安全に関する御心配につきましても、対策を講じていただけるよう、国に要望していくことを考えております。

あわせて、管理型最終処分場は、産業振興、県経済の活性化のために県内に不可欠な施設であることから、これを受け入れていただく地域の振興にもつながるような取り組みも検討していく必要があると考えております。

このため、今後、住民の皆様からの御意見や御要望をより詳しくお聞かせいただき、佐川町や関係機関とも協議の上、具体的な対応策を取りまとめ、住民の皆様に県の考え方をお示ししながら、新たな施設の整備に関する話し合いを続けさせていただきたいと考えております。県としましては、住民の皆様に寄り添いながら、住民の皆様の御不安を解消するとともに、施設の整備によって地元の皆様に、より暮らしやすい地域になったと思っていただけるよう取り組んでいきたいと考えるところでございます。

 

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●門田地域福祉部長

まず、医療的ケアが必要な子供への支援の現状と課題についてお尋ねがございました。

日常生活を送るためにたんの吸引や経管栄養などの医療的なケアを必要とする子供の人数等を県から市町村に照会した結果、昨年10月末における在宅での未就学児が36人であり、このうち8割は医療機関や福祉サービスを提供する事業所が多くある県中央部に居住していました。
医療的ケアの種別では経管栄養、酸素療法が16人と最も多く、次いで、たん吸引が11人でございました。人工呼吸器の管理など高度な医療を必要としたり、複数の医療的ケアが必要なお子さんもおられ、本人の状態や年齢、介助される御家族など個別の状況に応じた支援策をそれぞれの地域で整えていく必要がございます。

県では、御家族の保育所へ通わせたいという思いを受けて、昨年度、保育所等での医療的ケアが必要な子供の受け入れ体制を確保するための助成制度を設け、教育委員会と連携して市町村の取り組みを支援しております。来年度には、新たに、乳児院に医療機関との連絡調整などを行う看護職員を配置することにより、医療的なケアが必要な子供の受け入れ体制を確保いたします。

また、今年度の国の報酬改定では、看護職員の加配加算の創設など通所支援の充実が図られたことから、県からもこの加算を取得し医療的ケアを必要とする子供を受け入れていただくよう通所事業所にも要請したところでございますが、看護職員の確保が難しいといった課題があり、受け入れの拡大には結びついていないところでございます。

今後も、事業所に加算の活用を継続して働きかけるとともに、看護職員を配置した場合の報酬が実態に見合ったものとなるよう、国に対して提言することも検討してまいります。
さらに、医療的ケアが必要な子供の地域生活を支えていくためには、保健、医療、福祉、教育などの各分野が連携して必要な支援を行っていくことが重要であることから、医療的ケアが必要な方を支援できる人材と各種サービスの紹介や相談、関係機関との連携など総合調整を行うコーディネーターを養成することによりまして、地域での支援体制の充実を図ってまいります。

 

次に、本県における児童虐待防止対策の現状と課題、また、児童虐待防止条例の制定の検討について、お尋ねがございました。
本県における児童虐

待防止対策につきましては、これまでの児童虐待死亡事例検証委員会から児童相談所の体制や職員の専門性確保に向けた取り組みの強化、一時保護の判断や組織対応のあり方、また、市町村要保護児童対策地域協議会への支援など、本県の抱える課題への対応などについて御提言をいただき、その提言に沿って取り組みを進めているところです。

具体的には、児童福祉士や、児童心理士などの専門職員を順次増員し、児童福祉士においては、昨年末に国が示しました2022年の目標値を既に上回る配置を行うとともに、職員の質の向上のためのアドバイザーの招聘による事例検討や、弁護士による定期的な指導、助言、医師に随時相談ができる体制の整備などに取り組んでまいりました。

また、一時保護につきましては、子供の安全を第一に考え、子供や保護者の同意を得なくても包括的なアセスメントに沿って的確に判断し、必要があれば躊躇せず保護を実施することを基本指針とするとともに、個別のケース対応につきましても、個々の職員が課題を抱えこまないよう常に組織内で情報を共有し、組織として判断し対応することを徹底して取り組んでいます。あわせて、市町村に対しましては、経験年数や職階に応じた研修会の実施や、要保護児童対策地域協議会の運営支援などにより、その対応力の強化を図ってまいりました。

このような相談支援体制の強化とともに、子供たちの命の安全と安心を守るため、虐待などの早期発見にとどまらず、その発生自体をなくすことを目指して、妊娠期から子育て期までを一貫してサポートする高知版ネウボラの構築を進めているところです。

議員のお話にありました児童虐待防止条例の制定につきましては、親から子への体罰禁止の法制化などを検討しています国の動向も注視しながら、その制定の必要性も含め検討してまいりたいと考えています。

 

次に、就労継続支援B型事業所の現状と課題、あわせて報酬改定による運営への影響について、お尋ねがございました。

就労継続支援B型事業所は、企業等への就労が困難な障害のある方が、障害特性やその日の体調にあわせて自分のペースで働きながら訓練を行う事業所であり、県内には平成31年1月末現在で100事業所がございます。本県のB型事業所の1人当たりの平均工賃月額は、事業所の工賃向上に向けた努力や、県による商品企画などを支援する工賃向上アドバイザー派遣などの取り組みの結果、平成29年度には全国平均の1万5,603円を上回ります1万9,694円で全国第3位となるなど、高い水準にあります。その一方、利用者の障害特性などにより日々の作業量が安定しないなど、生産面での課題や、事業所の支援員が十分に確保できないといった運営面の課題がございます。

こうした中、今回の報酬改定では事業所の平均工賃月額に応じた7段階の基本報酬を設定する仕組みに改定されるとともに、前年度の工賃実績を基に算定する目標工賃達成加算が廃止されました。このことにより、目標工賃達成加算を含む基本報酬と、今年度の基本報酬を比較した場合、52の事業所で報酬が減少しています。また、就労に当たり労働日数や、時間などに配慮することや、支援が特に必要な重度障害や精神障害の方を多く受け入れている事業所では、平均工賃月額を引き上げることが難しいことから、事業所への報酬が低く抑えられ、利用者への支援に見合った報酬が得られないといったお話もお伺いしているところでございます。

県といたしましては、事業所の報酬アップにもつながるよう工賃向上に向けた支援を引き続き実施いたしますとともに、厚生労働省が実施をしています今回の報酬改定検証調査の結果も踏まえ、事業所の状況もお聞きしながら、必要に応じて報酬の見直しなど、全国知事会とも連携して国に提言を行ってまいりたいと考えています。

 

最後に、あったかふれあいセンターの現状と課題についてお尋ねがございました。
あったかふれあいセンターは、中山間地域の多い本県において、子供から高齢者まで障害の有無にかかわらず、気楽に集え、制度サービスのすき間を埋めることのできる地域福祉の拠点として、現在31市町村、サテライト含めまして、約280カ所に設置をされています。各センターにおいては、介護予防や認知症カフェなどの取り組みが進められており、小規模ながらも1カ所で多様なサービスが提供されているところでございます。

課題といたしましては、一部の市町村においては、センター職員の求人を出しても応募がなかったり、非正規職員が多く経験が蓄積しづらいことなどがあるとお伺いしております。

県といたしましては、利用者への切れ間のないサービス提供をするためには、職員の安定的な確保が必要であり、そのためには、職員が継続して働くことのできる環境が重要と考えております。一方で職員の処遇につきましては、委託先の雇用形態や、給料表に基づくなど、市町村や委託先の実情に応じて設定されていますことから、県といたしましては、市町村にセンターの重要性などをしっかりと理解していただき、雇用形態や処遇改善などについて検討していただくよう働きかけていきたいと考えております。
あわせて、地域で質の高いサービスが受けられるようリハビリテーション等の専門職の確保が困難な場合には、関係機関と連携してセンターへの専門職派遣を支援いたしますとともに、利用者が必要なサービスを受けられるよう関係機関に適切につなぐための実践的な研修などを通じまして、センター職員のスキルアップに努めてまいります。

今後も引き続き、あったかふれあいセンターの機能強化に向けて、市町村を支援することによりまして、高知型福祉の拠点としての機能強化を図ってまいります。

 

 

●伊藤教育長

まず、学校、幼稚園や保育所における医療的ケアを必要とする乳幼児や児童、生徒の受け入れ体制の現状と課題について、お尋ねがございました。

本年度保育所に入所している医療的ケアが必要な幼児は12名で、この内在園中にたんの吸飲などの医療的ケアを必要とする幼児は4名となっております。そして、このうち3名については、幼児の実態に応じて医療的ケアを行う看護師が配置されております。

県教育委員会では、本年度から在園中に医療的ケアを行う看護師等の配置への補助制度を設け、これまでの医療技術支援を行う看護師等の派遣に対する地域福祉部の助成制度と合わせて支援の充実を図っているところでございます。

 


次に、就学後の医療的ケアの必要な児童、生徒については、現在、県立特別支援学校では8校に25名、公立小中学校では7校に7名が通学しております。学校で医療的ケアを行う看護師は、特別支援学校では8校すべてに。公立小中学校では7校のうち3校に配置をされております。また、各学校では、管理職や擁護教諭、看護師などで構成する校内委員会を設置し、保護者や主治医との連携、看護師が医師等から直接指示を受ける機会の確保、さらに、個別の実施マニュアルの整備などにも努めてるところでございます。
しかしながら、医療的ケアを行うスペースなどの環境整備や、看護師の安定的な確保、医療的ケアの内容の多様化、高度化に対応するための医療機関との一層の連携などが課題となっております。

このため、今年度、医療や保健、福祉及び教育等の各分野が参加して設置しました高知県重症心身障害児者等支援体制整備協議会を活用して、重症心身障害児者や医療的ケアが必要な乳幼児や児童生徒に対する総合的な支援に向けた対応策などを検討していくこととしております。

 

次に、特別支援学校に在籍している医療的ケアを必要とする児童生徒の通学の現状と課題についてお尋ねがございました。

現在、県立特別支援学校に通学している医療的ケアを必要とする児童生徒25名のうち、保護者による送迎は18名、残りの7名はスクールバスや介護タクシー、福祉サービスの利用となっております。医療的ケアを必要とする児童生徒は、学校への通学など移動においても配慮を必要とし、多くの児童生徒は保護者の送迎により通学しています。このため、さまざまな理由により保護者が送迎できない場合において、児童生徒の通学手段の確保が課題となっております。

そのため、県教育委員会では、平成26年度から、保護者が急病などやむを得ない理由で送迎できないときに、タクシーを利用して通学した場合には、一定回数まではタクシー料金の全部または一部を補助することとし、児童生徒の通学の保証と保護者の経済的な負担の軽減に努めております。県教育委員会としましては、こうした助成制度の周知に加え、今後とも医療的ケアを必要とする児童生徒ができるだけ同年代の子供たちと触れ合い、年齢や発達段階に応じ、また、その特性を踏まえた十分な教育を受けられるよう保護者のニーズに応じて学校、市町村、福祉サービスの事業者等と児童生徒の支援計画などの情報を共有し、役割分担を行いながら、通学への支援を含めて必要な支援ができるよう一層の連携を図ってまいります。

 

 

●近藤商工労働部長

シルバー人材センターの現状と課題について、お尋ねがございました。

現在県内にはシルバー人材センターが20団体あり、うち、市町村単位で設置されているものが16、広域で設置されているものが4つ、そして、それらを会員とする連合会が1つあります。また、シルバー人材センターが設置されていない町村は5つございます。その主な事業は、民業を圧迫しないことを前提に清掃や樹木の剪定から農作業などを請け負うほか、議員のお話にもありましたように、市町村から道路や施設の管理を受諾するなど近年は増加傾向にあり、地域の重要な雇用の場や事業の担い手となっているところです。

シルバー人材センターにかかる主な課題といたしましては、市町村からの委託業務の発注や運営費補助に関して、市町村ごとに温度差があることや、会員数の確保といったことが挙げられます。そのため、本年1月より市町村を訪問するなどして、国の事業の紹介や各市町村の状況を確認をさせていただいてるところです。その中で活用しづらい理由として、地域内にそれらの事業を担える団体がほかにもあることや、必要な技術を持つ会員が少ないケースがあること、また、広域で設置をしている市町村については、地元の会員が少ないことから発注しづらいといった御意見をいただいております。

そういった中、市町村のシルバー人材センターに対する全体予算が大幅に増加する状況にはありませんけれども、確認できる範囲では、5つの市、町で運営費補助の増額を、また、3つの市、町で新たな施設管理や介護関連サービスの委託を検討していると伺っております。また、国の来年度予算案では、シルバー人材センターへの運営費補助金において、会員数や助成会員数の増加割合に応じて加算額が増える制度が新設をされる予定であり、新たな会員獲得により加算措置の適用を目指すシルバー人材センターも出てきております。

さらに、連合会においては、センター事業のテレビスポット広告の実施やリーフレット等の作成、配布など会員拡大のための普及啓発事業を実施するとともに、選定講習や、パソコンビジネス講習など各種技能講習による会員のスキルアップを図っているところです。

県といたしましては、引き続き、市町村やシルバー人材センターとの情報交換により、現状の把握と各種制度や事例の紹介を行うとともに、会員獲得に向けては、市町村や県の広報紙を活用するなど一層シルバー人材センターの活用を促進し、高齢者が活躍できる地域の実現を目指してまいります。

 

 

●酒井危機管理部長

防災行政無線の個別受信化の進捗状況について、お尋ねがありました。

台風や大雨などの災害時において住民の皆様に命を守っていただくよう避難を促すための情報を、複数の手段によって迅速かつ確実に伝達することが非常に重要だと考えています。

そのため、市町村では、防災行政無線や有線放送、緊急速報メールなどさまざまな手段を用いて、情報の伝達を行っています。その中でも、防災行政無線の屋外スピーカーでは、音声が聞き取りづらい場合があることから、個別受信器の整備を県の補助金で助成してきたところです。平成27年の県議会で議員に答弁させていただいた際には、22市町村で2万4,123台が設置されておりましたが、本年2月時点では23市町村、2万9,640台となり、約5,500台増えております。また、このほかにもインターネット回線などを活用した有線での専用端末が15市町村で合計約2万5,000台御家庭に配置されており、個別受信器と同様に使われています。昨年7月豪雨後に、県内市町村に実施した避難に関するアンケート調査では、複数の伝達手段を用い住民に対して避難情報を伝達したことが効果的だったという趣旨の回答が21市町村からあり、個別受信器が効果的だったとの回答もありました。

このため、今後とも、個別受信器や専用端末を整備する場合の助成を継続するとともに、情報の伝達については、豪雨災害対策推進本部の中でさらに検討を深めていきたいと考えています。

 

 

●田所林業振興・環境部長

新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備について、地域住民との話し合いや説明会で出された意見をどう受けとめたのかとのお尋ねがございました。

最終処分場の候補地につきましては、先の12月定例会閉会後、県として、佐川町加茂を施設整備に最も適した箇所として絞り込むとともに、佐川町に施設整備の受け入れについて申し出を行いました。あわせて、年末ではありましたが、佐川町加茂地区の住民の皆様に、3カ所の中から佐川町加茂に絞り込みをさせていただいたこと、及び、その絞り込みの考え方などについて詳しく御説明させていただきました。住民の皆様からは、改めて候補地選定の経緯に関する御質問を始め、施設からの水漏れなど施設の安全性に対する御不安の声や、井戸水や河川の水質への影響を心配する御意見のほか、これまでたびたび浸水被害を受けている地域であることから、豪雨などの際の河川の増水を心配する御意見を多くいただきました。

このため、県では1月末から2月初めにかけ、候補地選定の経緯や施設の安全性などについて簡潔な文章や写真、図解などを使用してよりわかりやすく整理した資料を作成し、加茂地区の各戸に配布させていただきました。加えて、先月中旬からは、加茂地区の4会場において住民の皆様との話し合いの場を設けさせていただきました。住民の皆様からは、議員のお話にありましたように、候補地選定の過程に関する御意見がございましたので、県からは有識者らによる選定委員会を設置し、さまざまな観点から審議していただいた結果、3カ所の最終候補地が選定されたのであることや、委員会の選定過程については、土地の先行取得などを防ぐためやむを得ず非公開で進めてきたことから、3カ所が選定された同日に非公開をされた審議も含め委員会において用いた資料を全面的に公開したことなど、透明性、公平性を確保するとともに、客観的かつ科学的に選定されてきたことを先ほど申し上げたわかりやすく整理した資料も活用しながら、御説明をさせていただきました。

また、施設からの水漏れなど施設の安全性や井戸水の水質への影響を心配する御意見に対しましては、新たな処分場は廃棄物のほこりを取るために散水することから、その水が埋め立てられた廃棄物の層を通ってしみ出てきますが、その水の量はわずかで河川に放流しても構わないほどきれいであることや、施設は水を場外に一切出さない、出ない安全な仕組みになっていることを改めて御説明させていただきました。

あわせて、河川の増水の御不安に対しては河川改修に向けた検討を進めていくこと、井戸水の水質の御不安に対しては、御家庭の井戸について建設工事の着手前から水質の検査を行うこと、また、国道の安全対策についての御意見に対しては国に要望していくことなど、住民の皆様の不安の解消に向けた具体的な対応策もお示ししながら、御理解をいただきますよう丁寧な説明に努めたところです。

さらに、加茂地区以外の佐川町内の各地区の住民の皆様に対しましても、こうした候補地選定の経緯や施設の安全性、住民の皆様の御心配に対する県の対応策などについて説明をさせていただきました。
県としましては、今後とも住民の皆様の御不安の声や御意見をしっかりと受けとめ住民の皆様に寄り添いながら誠意を持って対話を重ねさせていただきたいと考えております。そうした取り組みを通じて、施設整備について御理解をいただきますよう努めてまいります。


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■大野たつや

知事はじめ、執行部の皆様からそれぞれ丁寧なご答弁をいただきました。本当にありがとうございました。
2問目はありませんが、最後の発言になるかも知れませんので、高吾北地域で生まれ育った一住民としての思いを少し述べさせていただきたいと思います。

仁淀川上流域の高吾北地域は、高速道路の計画からも外れるなど、社会インフラもまだまだ未整備で、少子高齢化も進み、地域経済も決して強いとは言えない地域ですが、優しい人々や美しい自然、水質日本一の仁淀川など、地域には誇れるものが沢山あります。
また、ここ1,2年の間に、高知南国道路や高知西バイパスの延伸などによって、高知県の空の玄関口、高知空港から、高吾北地域の入り口、日高村までのアクセスは、格段に向上することとなります。

今後、そうしたことをチャンスに、地域が維持、発展していくためにも、地域の頑張りと併せて、県の支援はかかせないものであると思っております。
どうかこれからも高吾北地域をよろしくお願いいたします。
また高吾北地域に限ったことではないかも知れませんが、今後においては、昨日、中内議員もおっしゃられていました、例えば、プロ野球の公式戦ができる規模の野球場とか、テーマパークといった、特に子どもや若者達に夢のあるような前向きな、施設整備の計画のお話などもお聞かせいただくことができたら、地域の未来も明るくなるのではないかと思います。併せて知事はじめ執行部の皆様にお願いしておきたいと思います。

平成という時代が間もなく幕を閉じ、新たな新時代がスタートしょうとしています。大きな時代の節目となる今年は、亥年の選挙イヤーとも言われ、来月には県議会議員も審判を受ける統一自治体選挙、夏には参議院議員選挙、秋以降も高知市長、県知事選挙などが行われ、新たな時代のかじ取り役、住民、県民、国民の代弁者が決まります。
一昨年、当時自民党の石破茂幹事長が来高された際に、新しい日本を切り開くために「政治は国民に嘘をついてはならない」、とおっしゃられていました。
私はまさにそのとおりだと思います。

政治がまっとうにならないと、行政の正常化は実現しないし、未来の幸せな国、県づくりも展望できないと思います。
片岡村長ではないですが、「行政や政治は誰のために何のためにあるべきか」、自分自身、もう一度原点に立ちかえって、新たな時代にチャレンジしていきたいと思います。

ちょうど県議会議員選挙戦の真っ只中、4月1日エイプリルフールに、新元号が発表されるとのことでありますが、
新しい時代には、知事の名前ではないですが、嘘つきではない、
正直者の政治家、
県民、国民のために一生懸命仕事をする政治家が、一人でも多く誕生することを、そしてこの国が、高知県が、幸せいっぱいとなりますことを心からご祈念申し上げまして、私の一斉の質問とさせていただきたいと思います。

皆様本当にありがとうございました。

 

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